■治療
■化学
■物質
物質過敏症の基本的な治療法としては,?確実な診断,原因物質 の特定,?原因物質の除去,?悪化因子を遠ざける,?健康状態を良好 に保つ,?運動療法,温泉療法,サウナ療法による解毒,?ビタミン剤, 解毒剤投与による解毒,?中和療法(原因物質の皮内投与による過敏症 の中和)などが提言されている。
(2) ホルムアルデヒドについて 証拠(甲B3,6,7,49,76,100,103,証人z)及び弁論 の全趣旨によれば,ホルムアルデヒドについて以下の医学的知見が認められ る。
アホルムアルデヒドの危険性 ホルムアルデヒドは,無色で鋭い刺激臭の可燃性気体である。
ホルムアルデヒドは,のど,鼻,目などの粘膜への刺激,気管支など上 気道への刺激,咳,肺炎,浮腫,炎症などを含む呼吸器系への影響,皮膚 の様々な症状中枢神経を含む神経への影響,視床下部の変化,嘔吐,痙攣, 急性の呼吸困難や意識障害など様々な健康被害をもたらす危険性を有し, 慢性呼吸器系疾患や癌を引き起こすとも言われている。
また,ホルムアルデヒドに晒されると,0.1から5.0ppmで健康 な人に対して目への刺激,催涙,上気道の痛みなどを生じ,10から20 ppmで咳,胸の痛み,喘息の発作を起こすと指摘されている。
イ解剖学実習におけるホルムアルデヒド曝露による健康被害の報告 平成11年3月30日,大分医科大学の水城まさみ,津田富康は,大分 医科大学医学部の解剖実習中,学生の健康調査を実施したところ,83% が目の刺激感,のどの刺激感など何らかの異常を感じ,倦怠感などの全身 症状を呈する者も40%に見られ,ホルムアルデヒド濃度が,0.5ない し1.6ppmと明らかにWHO基準を超えていたと報告した。
また,平成13年1月30日,水城まさみ(以下「水城医師」とい う。
),津田富康は,「人体解剖実習中のホルムアルデヒド曝露による身 体症状発現とアトピー性素因との関連について」と題する論文で,ホルム アルデヒドがアレルギー症状を増悪させる可能性があることを指摘した。
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3 争点(1)(ホルムアルデヒド曝露によって生じた原告の障害の有無及びその 内容)について (1) 原告は,解剖学実習においてホルムアルデヒドに曝露した後,睡眠サイ クルの乱れ,肩凝り,倦怠感,耳が詰まった感じ,食欲不振,便秘,頭痛, 原因不明の発熱,発疹,喉の違和感,膀胱炎等の症状が生じ,日常生活及び 学業の継続に大きな支障が出たものであり,これらは解剖学実習におけるホ ルムアルデヒド曝露によって生じた症状である旨主張する。
(2) そして,この点については,以下の各事実を指摘することができる。
アb大学における解剖学実習実施期間中のエピソード 前記認定事実によれば,原告が,?平成13年6月5日,試験中に激し い咳が出現し,過呼吸状態となって倒れてb大学病院総合診療部に搬送さ れ,JCS?−100まで意識レベルの低下がみられたこと(前記1(4) エ),?同月25日,1時限目の試験が始まる前に倒れ,b大学病院総合 診療部に搬送され,意識レベルJCS?群,SpO2 85%までの低下が みられたこと(前記1(4)ス),?同月28日,解剖学実習中に意識を失 って倒れ,b大学病院総合診療部に搬送され,意識レベルがJCS?−3 00まで低下したこと(前記1(4)セ)が認められる。
これらは,意識レベル?群,SpO2 80%台という過去にはみられな かった重篤な症状が短期間のうちに繰り返し出現しているものであり,原 告が,a大学における解剖学実習実施期間中においては,学業に対する強 い不安感,焦燥感といった精神的症状を中心に訴え,明確な身体所見は認 められていなかったのと比較すると,明らかに異なる身体反応を示してい るといえる。
イi病院j医師の診断 原告は,平成14年2月,i病院において,各種検査を受け,その結果, 瞳孔の対光反射を利用した自律神経機能検査では明らかな自律神経失調が, 眼球の追従運動では滑動性追従運動で階段状波形が,視覚空間周波数特性 検査では視覚感度の低下が認められ,平衡機能検査での異常も認められた。
j医師は,このような神経学的検査所見やQEESIを用いての問診結 果等から,米国及び我が国の化学物質過敏症の診断基準に合致しているも のとして,平成14年2月20日,原告を多種類化学物質過敏症と診断し た。
また,原告は,ホルムアルデヒドガス負荷試験を二重盲検法で行ったと ころ,40ppb負荷では,近赤外線酸素濃度計による脳血流検査で酸化 ヘモグロビン量の低下が出現し,8ppb負荷では,瞳孔の自律神経機能 に負荷前後で明らかな差が認められるなど,異常所見が認められた(前記 1(4)ツ,ナ,ネ,甲A12ないし14,18,21,23,24,甲A 31・3ないし19,24ないし41,45ないし50頁,甲B42の1, 2)。
さらに,原告は,平成17年7月20日にもi病院を受診し,化学物質 過敏症の検査を受けたところ,眼球追従運動検査,視覚空間周波数特性検 査,平衡機能検査,Rumpel Leede検査において異常所見が認 められた(甲A53,甲B48) 化学物質過敏症は多彩な症状を呈し,特異的な所見に乏しいため,自覚 症状のみからの診断では医学的証明として不十分であるが,上記診断は, 化学物質過敏症の診断にも有効性が報告されている検査結果に基づいたも のである(甲B42の2)。
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